「早く、激しく、外連見なく」第1回:GK山岸範宏

[1]山岸範宏ヤマギシノリヒロ)1978・5・17生まれ

Jリーグ誕生から10年が経ち、「ベストゲーム」や「〜のベスト11」なんてやってみると面白そうだ。3年前、伊勢丹浦和店で開催された催し『レッズ展』では、サポーターが選ぶ「レッズ歴代ベスト11」の投票が行われた。結果は、選ばれるべく選ばれたメンバーが揃ったのだが、イレブンではなくトゥエルブになってしまったのだ。どのポジションで2選手が選ばれたかというと、GKである。土田尚史田北雄気への投票が真っ二つに分かれたのだ。

前置きが長くなったが、レッズのGKの話をするには、上の話は避けて通れない。ヴェルディなら菊池、ガンバなら本並、レイソルなら南と、1人の選手の名前が挙がるのが大抵であるが、レッズではそうもいかない。その伝統は現在もなお、受け継がれている。山岸範宏都築龍太である。更にこの2つの組み合わせ、実によく似ているのである。土田(岡山理大−レッズ)と大卒の生え抜き、田北(NTT関東−レッズ)は移籍、山岸(中京大−レッズ)は大卒の生え抜き、都築(ガンバ−レッズ)は移籍。年齢差は、土田−田北が1歳で、山岸−都築は同じ年。性格に関しては、土田・山岸が闘志を前面に出すGKであれば、田北・都築が冷静に淡々とプレーに徹するGK。総合的に考えると、「人気の生え抜き組、実力の移籍組」と言えるのではないだろうか。

現在、土田はレッズGKコーチ、田北は横浜FCのGKコーチ。ちなみに、田北はJリーグ初のGKによる得点を96年11月9日の横浜フリューゲルス戦でPKで決めている。

03年の山岸は、1stの9節G大阪戦での4失点を最後に、レギュラーを都築に奪われる格好となった。特に悔しいだろうな、と思ったのが、ナビスコ杯決勝。準優勝に終わった02年決勝では、秋田の強烈なヘッドを止めるなど、鹿島の攻撃を、井原の背中に当たって入った1点に抑える活躍を見せた。その雪辱を果たすチャンスに、昨年の決勝は90分、ベンチに座っているしかなかった。04年、ブッフバルト新監督が、果たしてどちらにゴールマウスを託すのか、注目である。